2014年10月24日

旅短歌

徐々に徐々に
強くなるバスの揺れ方で
我東北に来たことを知る

福島と
育った街の埋立地
道路の亀裂似通っており

5分後の
南相馬へ行くバスに
乗りたくもあり乗りたくもなし

被災地と都市部を結ぶバスに乗る
観光客は
我一人なり

意気込んで南相馬の停車場
降りるも夜更
暗くて見えず

ジョナサンもガストもマックも休業中
その荒涼に
思い知らされ

歩き疲れ
漫画喫茶に宿を取る
避難区域のすぐそばにあり

東向く
遠い海まで見渡せる
その意味に気付き茫然と立つ

三陸の
今は優しき寄する波
割って砕いて裂いて散らした

残りしは大樹の裏の
一軒のみ
幸と不幸の境目を見る

野に建ちし仮設トイレの悪臭や
瓦礫のそばに
生活がある

この道を真っ直ぐ行けば
浪江町双葉町だと
標識が言う

立入を禁ずる封鎖のすぐ脇の
関所のような
セブンイレブン

辛うじて動きし駅に生き残る
立ち食い蕎麦の
驚く不味さ

徐々に徐々に
揺れが遠のくバスの中
寝てしまう前再来思う


posted by 淺越岳人 at 16:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 啄木ごっこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。